親族が亡くなって遺品整理を行う必要があるけど、どのタイミングで着手すればよいかわからない。そんな悩みを抱えている方も少なくないでしょう。遺品整理にかかる期間は現場の環境や親族の事情によって変わるため、しっかりと計画を立てたうえで着手することが大切です。
そこで今回は、遺品整理に適したタイミングや計画に際しての注意点などを解説していきます。いつから遺品整理を行うかを明確にして、計画的に遺品整理を進めていきましょう。
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遺品整理をいつから始めるか決める基準
遺品整理を行う時期を決める際には、基準を設けて日程を決定しましょう。ここでは、遺品整理の日程を決める際に基準とすべき事項を紹介します。
整理する遺品の量や種類
遺品整理を行う時期を決める際には、整理しようと考えている遺品の量や種類が判断基準のひとつとなります。遺品の量が多い、大型家具などの片付けるのに手間がかかる遺品があるといった場合は所要時間を多く見積もる必要があります。
また、住宅が広い場合も同様に所要時間が長くなる傾向にあります。遺品整理は落ち着いて着手すべき作業であるため、余裕を持ったスケジューリングを行うようにしましょう。
誰が遺品整理を行うか
誰が遺品整理を行うかも、遺品整理をいつから始めるか決める際の判断基準となります。遺品整理は心身ともに負担の大きい作業ですので、体力に自信のない方が行う場合には所要時間が増えることを想定しておきましょう。
その際、何人で遺品整理を行うかも判断基準となります。少人数で行う場合にも、時間を多く見積もるべきだといえます。
また、遺品整理業者への依頼を検討している場合には、業者に依頼する際に所要日数や対応可能時期の確認を行うのがよいでしょう。
遺品整理を始める時期に明確な決まりはない
遺品整理は法律上、「絶対にこのタイミングで行ってください」というような時期は定められていません。葬儀で遺族が集まるタイミングなど、関係者が都合のよいタイミングで行うのがよいでしょう。
前述の通り、遺品整理は故人の思い出の品を扱う作業であるため、精神的にも負担がかかる作業です。遺族が心を落ち着けて着手できるタイミングを待つのも大切です。
ただし、故人が住んでいた賃貸住宅の契約期限が迫っているなど、期限が存在する場合には急いで遺品整理を行うべき場合もあるので注意が必要です。
遺品整理に適したタイミング
遺品整理に適したタイミングはいつなのでしょうか。ここからは、遺品整理におすすめの具体的なタイミングをメリットとあわせてご紹介します。
葬儀を行った直後
葬儀を行った直後は遺品整理におすすめなタイミングのひとつです。
葬儀の前後は多くの遺族が集まるため、遺族間で協力して遺品整理を行う場合にはうってつけのタイミングといえるでしょう。遺族と面と向かって話をしながら遺品整理ができるため、相続関連の相談を行いつつ進められる点もポイントです。
ただし、葬儀の前後は葬式の準備や各種手続き、書類の提出といった作業が重なる時期でもあるため、時間に追われすぎないよう注意が必要です。
遺品整理はただ荷物を片付けるだけではなく、遺品を整理しながら故人を悼む時間でもあります。落ち着いて遺品整理ができる時間を作ることも忘れないようにしましょう。
各種手続きが落ち着いた時期
葬儀、通夜、告別式等の葬式が終わり、書類準備や各種手続きが落ち着いた時期も遺品整理のタイミングとしておすすめです。
葬式の前後よりも時間的な余裕ができるため、精神的にも落ち着いて遺品整理に取り組むことができるでしょう。できるだけ早めに遺品整理を行う必要があるものの、ある程度落ち着いて遺品整理に取り組みたいという場合にはおすすめのタイミングです。
四十九日法要の直後
故人が亡くなってから2ヶ月ほどが経過した、四十九日法要の直後も遺品整理を行う際におすすめのタイミングです。四十九日法要とは、故人が亡くなってから49日目に行われる法要です。
四十九日は忌明けともされており、遺族が喪に服す期間が終わる日でもあります。葬式の前後よりも慌ただしさが落ち着いた状況で遺族が集まるタイミングであるため、多くの遺族が集まり、落ち着いて遺品整理を行えるタイミングといえるでしょう。
相続税の申告期限前
相続税の申告期限前も遺品整理に適したタイミングといえるでしょう。相続税の申告は被相続人である故人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に行うことが定められており、期限を過ぎてしまうと加算税や延滞税が発生する可能性があります。
相続税の申告に必要な相続財産を正確に把握するためには遺品整理を行う必要があるため、この期限を迎える前に遺品整理を行うことをおすすめします。ただし、期限ぎりぎりで始めると落ち着いて遺品整理ができなくなる可能性があるため、申告期限に間に合うよう2~3ヶ月ほど前から開始するのがよいでしょう。
遺品整理をいつから行うか決める際のポイント
ここからは、遺品整理をいつから行うか決める際のポイントをご紹介します。これらのポイントを踏まえれば、遺品整理のスケジュールを立てやすくなるはずです。
遺品整理全体の流れを確認する
遺品整理の開始時期を決める際には、遺品整理全体の流れを確認しておくことが大切です。遺品整理において具体的に何をするのか知っておくことで、作業にどれくらいの時間を要するかイメージがしやすくなるでしょう。遺品整理の基本的な流れは以下の通りです。
1.作業日や時間、参加者の予定を確認する
2.遺言書等を参照して故人の遺志を確認する
3.親族や相続人から遺品整理の許可をもらう
4.遺品整理開始、遺品の探索や仕分けを行う
5.遺品の梱包や搬出を行う
6.作業現場の清掃を行う
7.必要に応じて、遺品の供養や形見分けを行う
以上の流れを把握したうえで、各工程にどれくらいの時間を要するかを計算してスケジューリングを行いましょう。
遺品整理の完了予定日を設定する
遺品整理の開始時期を決める際には、完了予定日を設定しましょう。
終了目標となる日付を設定することで、何をいつまでに終わらせればよいかということが明確になるため、スケジューリングがしやすくなります。くわえて、作業ごとに日程を決めたり、整理する部屋ごとに日程を決めたりするのもおすすめです。
故人の遺志を確認する
遺品整理の開始時期を決める際には、故人の遺志を事前に確認することも必要です。遺品整理は遺言書やエンディングノート等に記された故人の遺志をもとに行われます。
相続関連事項もこちらで確認することになるため、計画を行う前に確認を行うのが望ましいといえます。遺言書等に記された相続関係者がいる場合には、話し合いを行ったうえで遺品整理の日程を決定しましょう。
遺品整理をいつから行うか決める際の注意点
遺品整理の開始時期を決定する際には、特に注意して確認すべきポイントも存在します。ここからは、遺品整理の日程を決める際の注意点をご紹介します。
親族の同意を得たうえで日程を決める
遺品整理の開始時期を決める際には、まずほかの遺族の同意を得るようにしましょう。同意なく遺品整理を進めてしまうと、遺族が残したかった遺品を誤って捨ててしまう、他の遺族に相続する予定だった遺品を捨ててしまうといったトラブルにつながりかねません。
また、遺族に連絡を行うことで、遺品整理に参加を希望する遺族の確認ができるメリットもあります。遺品整理をトラブルなくスムーズに進めるためにも、親族への確認は必ず行うようにしましょう。
早急に行う必要があるか確認する
遺品整理の開始時期を決める際には、遺品整理を早急に行う必要があるか確認することも大切です。
前述の通り、遺品整理を行う時期に明確な決まりはありませんが、賃貸契約や相続税申請期限が迫っているといった事情がある場合には、その期限に合わせて遺品整理を進める必要があります。金銭的な負担やトラブルを防ぐためにも、各種期日に合わせたスケジューリングを行いましょう。
相続放棄の可能性を確認する
遺品整理の開始時期は、相続放棄をする可能性があるか確認してから決定しましょう。遺品整理において遺品の処分をしてしまうと、その時点で相続を認めたと判断される可能性があります。
これは法定単純承認という制度によるもので、これが認められた場合は相続を単純承認したものとみなされます。そのため、故人に負債があった場合には、負債も含めたすべての財産を相続することになります。
もし相続放棄の可能性がある場合には、遺品整理を行う前に相続に関する検討を行っておきましょう。
特殊清掃が必要か確認する
遺品整理の開始時期を決定する際には、特殊清掃が必要か確認しておく必要があります。特殊清掃が必要な場合、ウイルス感染対策などの衛生上の問題が発生するため、清掃が終わるまでは遺品整理に着手できません。
特殊清掃を依頼する業者に確認を行ったうえで、遺品整理のスケジュールを決定しましょう。また、清掃完了後でも現場の状態が悪いことが多いため、遺品整理業者に依頼をしたほうがよい場合も多いでしょう。
遺品整理業者によっては特殊清掃と遺品整理を合わせて担当してくれる業者もあるので、依頼の際に確認することをおすすめします。
遺品整理が遅れることによるデメリット
遺品整理に期限はありませんが、あまりに長いこと遺品整理を行わないのも考えものです。ここからは、遺品整理が遅れることによるデメリットを解説していきます。
相続手続きに支障をきたす可能性がある
遺品整理が遅れてしまうと、相続関連の手続きにも支障をきたす場合があります。
相続において遺産分割協議を行う場合、事前に遺品整理を行って相続の対象となる貴重品等を探索しておく必要があります。
親族間で遺産分割協議を行う予定である場合は、遺品整理が遅れてしまうと協議を行う時期も遅れ、相続関連の手続きにも遅れが生じてしまうでしょう。
空き巣などの事件が発生するリスクが高まる
故人の住宅が空き家になる場合、遺品整理が遅れると空き巣などの事件が発生するリスクが高まります。居住可能な環境で空き家を放置してしまうと、空き巣や窃盗の対象として狙われやすくなってしまいます。
また、ガスや電気を停止せずに放置してしまうと火災等の原因にもなるため、ガスの使用停止手続きを行う、コンセントから家電のプラグを外しておくといった対応を行うとよいでしょう。
税金等の費用がかかってしまう
遺品整理が遅れると、税金や賃料等が多くかかってしまうというデメリットもあります。
相続税は故人が亡くなってから10ヶ月以内に行う必要があります。期限を過ぎると延滞税が発生してしまうため、これに間に合うように遺品整理を行う必要があります。
また、遺産分割が終了していないと相続税における控除が受けられなくなってしまいます。相続税を可能な限り抑えるためにも、遺品整理は計画的に進めておきたいところです。
遺品整理業者を利用するメリット
遺族間での遺品整理が難しいと感じる場合には、遺品業者への依頼も検討したいところです。ここからは、遺品整理業者を利用するメリットをご紹介します。
心身の負担を軽減できる
遺品整理業者を利用するメリットとしてまず挙げられるのは、心身の負担を軽減できるという点です。
ここまで紹介してきたように、遺品整理は心身ともに負担の大きい作業です。体力面で不安を感じていたり、故人への思いが整理しきれなかったりすると、遺品整理に着手すること自体が難しい場合もあるでしょう。
遺品整理業者に依頼をすれば、これらの不安を払しょくしたうえで遺品整理に着手できます。優良業者は遺族の気持ちに配慮したうえで遺品整理を進めてくれるため、安心して遺品整理を任せられるでしょう。
買取や不用品回収も一括で依頼できる
業者によっては買取や不用品回収を一括で依頼できる点も、遺品整理業者を利用するメリットです。買取や不用品回収を別の業者に依頼する場合、依頼の手続きやスケジューリングにさらなる手間を要してしまいます。
遺品整理業者にこれらを依頼すれば、申し込みやスケジューリングを一括で行えるうえ、遺品整理にかかる費用から買取額分を割引として適用してもらえる場合もあります。
ただし、骨董品やコレクター品といった専門家による鑑定が必要な遺品は専門の買取業者に依頼をしたほうがいいこともあるので注意しましょう。
その他の遺品整理関連の業務も幅広く依頼できる
遺品整理に関連するその他の業務も幅広く依頼できる点も、遺品整理業者を利用するメリットです。関連業務の一例としては、遺品の供養や形見分けの配送サポート、不動産売却や相続のサポートなどが挙げられます。
提供しているサービスは業者によって異なるため、依頼をする際には自身が欲しているサービスを提供している業者であるか確認した上で依頼を行いましょう。
遺品整理をいつから始めるかは入念な検討のうえで決定しよう
今回は、遺品整理に適したタイミングや計画に際しての注意点などを解説しました。
遺品整理は簡単に完了できる作業ではないため、計画的に行うことが大切です。開始時期については自身や遺族の事情を勘案したうえで、入念に検討する必要があるでしょう。負担が大きいと感じる場合は、遺品整理業者に依頼を行うのもひとつの手です。
遺族の無理のない範囲で、心を落ち着けられる環境で遺品整理に着手しましょう。