2023年11月14日 / 2023年11月14日 更新

遺品整理の予定があるけれど、何を残して何を捨てればいいかわからない。そんな悩みを抱えている方も少なくないかもしれません。遺品の中には貴重品や重要な情報が記されたものなどもあるため、やみくもに捨ててしまうとトラブルに発展する可能性もあります。

そこで今回は、遺品整理において捨ててはいけないものや発生しがちなトラブルなどを解説していきます。判断の基準もご紹介するので、本記事を参考に方針を決定してから遺品整理に臨みましょう。

遺品整理で捨ててはいけないもの

まずは、遺品整理で捨ててはいけない主な遺品をご紹介します。

1.遺言書

故人の遺志を示す遺言書は遺品整理の際に間違って捨てないよう特に注意が必要です。

遺言書に書かれている内容は法的な拘束力を持ち、相続の際にも参照されます。捨ててしまうと相続関連の手続きが難しくなることに加え、刑事罰に問われる可能性もあります。相続トラブルを回避するためにも、捨ててしまうことのないように細心の注意が必要です。

2.現金

現金も遺品整理の際に捨ててはいけないものです。現金を捨てたり損傷したりすることは法律によって禁止されています。家具や小物などを捨てる際に、一緒に捨ててしまわないよう注意しましょう。

また、現金は故人の遺産として扱われます。遺品整理を行った後に現金が見つかった場合は相続や税金関連のトラブルに発展しかねないため、現金がしまってありそうな場所はしっかり確認しておきましょう。

3.印鑑

届出や契約の際に使用する印鑑も捨ててはいけないものに含まれます。

捨ててしまうと印鑑を使用する各種手続き、取引の際に余計な手間が生じてしまいます。銀行の取引に使う銀行印や市区町村に登録する実印など用途によって使い分けている場合もあるため、印鑑が複数見つかった場合にはすべて捨てずに保管しておくのが無難です。

4.鍵

鍵も遺品整理の際に捨てないよう注意しましょう。鍵を利用するのは家、自動車、金庫など貴重品や価値あるものである場合が多いため、捨ててしまうと重大な問題に発展してしまいます。

何に使用するかわからない鍵もむやみに捨てず、遺族や鍵屋にしっかり何の鍵であるか確認しましょう。サイズの小さいものが多いため、遺品整理の際に他のものと一緒に捨ててしまわないよう注意が必要です。

5.スマートフォン・パソコン

スマートフォンやパソコンといったいわゆるデジタル遺品も捨ててはいけないものに含まれます。デジタル遺品にはパスワードをはじめとした重要なデータが含まれている可能性があります。

もし処分する場合にはデータの初期化を必ず行うようにしましょう。また、デジタル機器は売却できる場合もあるため、処分する際には買取を行っている店舗がないか確認しましょう。

6.レンタル品

故人の所有物ではないレンタル品に関しても捨ててはいけないものに含まれます。

捨ててしまった場合は品物に相当する賠償金を支払うケースもあるため注意が必要です。ウォーターサーバーやWi-Fiルーター、その他家具など、レンタル品は遺族が必ず返却手続きを行いましょう。

7.ブランド品・骨董品

ブランド品や骨董品といった高級品についても捨ててはいけないものに含まれます。

価値がわからない場合にも勝手に捨てることはせず、遺族に相談したうえで専門家に鑑定を行ってもらうのがよいでしょう。相続の対象となる場合には勝手に処分するとトラブルのもとになるため注意が必要です。

8.年金手帳

故人の使用していた年金手帳や年金証書も捨ててはいけません。

年金に関する情報の証明となることに加え、受給停止の手続きを行う際にも必要になります。死亡に関する手続きを行わずに年金を受け取り続けることは不正受給にあたってしまうため、スムーズに受給を停止するためにも年金手帳は誤って捨てないようにしましょう。

9.通帳

故人が使用していた通帳も捨ててはいけないものです。

通帳がないと、たとえ遺族であっても銀行での手続きが難しくなります。通帳は故人のローンや各種契約を確認するためにも有用ですので、処分しないよう注意しましょう。

10.身分証明書

運転免許証やパスポートなどの身分証明書も捨てないようにしましょう。故人が商品やサービスの契約を行っていた場合、解約を行う際に身分証明書の提示が必要になる場合があります。

また、各種身分証は正式な手続きを行って返還する必要があるため、処分したい場合には対応を行っている機関に問い合わせましょう。

11.ローン明細

故人が受け取っていたローン明細も捨ててはいけないものです。

故人のローンや支払いの情報を事前に聞いていない場合には、これらの書類が重要な参考書類となります。相続放棄をする場合など、相続に関する決定をする際の重要な資料となるので、大切に保管しておきましょう。

12.請求書・支払通知書

故人あての請求書や支払通知書も捨ててはいけないものにあたります。

これらの書類を参照することで、故人が行っていた支払いの内容や支払い口座の情報を確認できます。解約などの手続きを行う際にも必要になることがあるため、手続きを終えて不要になるまでは大切に保管しておきましょう。

13.証券・株式等

証券や株式などの金融商品も捨ててはいけないものです。金融商品は資産的な価値が認められるため、相続の対象となります。そのため、処分してしまうと相続トラブルに発展する可能性があります。

処分する際には各種申告や手続きが必要になる場合もあるので、必要に応じて専門家に相談を行いましょう。

14.土地の権利書

土地の権利書も捨ててはいけないものに含まれます。

土地に関しても資産価値が認められて相続の対象となるため、権利書は土地の相続を行う際の重要な資料になります。権利書を捨ててしまった場合でも登記等の手続きは可能ですが、手続きに必要な対応が増えてしまうため、備えておくに越したことはありません。

15.仕事の関連書類

故人の仕事に関する書類も捨てずに保管しておきましょう。仕事の引継ぎに必要な情報が記載されている場合には、会社に書類の内容を共有する必要がある場合もあります。

また、故人が事業主だった場合には、帳簿や領収書を一定の年数保管する必要があることが決められています。事業に関する手続きで使用することもあるため、処分しないように注意しましょう。

16.思い出の遺品

故人にまつわる思い出の遺品も安易に捨てないように注意しましょう。一見不要なものに感じても、周囲の遺族にとっては大切なものである可能性もあります。

写真や日記といった遺品が大量にあって処分したい場合にも、必ず遺族に確認をとってから処分するようにしましょう。処分した後に欲しい遺族がいたことが判明しても取り返しがつかないので、思い出の品の処分は慎重に行うべきです。

捨ててはいけないものを捨てて発生しがちなトラブル

遺品整理で捨ててはいけないものは?起こりがちなトラブルなどとあわせて解説!

ここでは、必要な遺品を捨ててしまうことによって発生するトラブルをご紹介します。

相続関連のトラブル

相続に必要な情報が記された書類や遺言書を捨ててしまうと、遺族の間で相続トラブルに発展する可能性があります。

通帳や各種明細などの書類がないと故人の財産の特定ができず、遺産分割が難しくなってしまいます。スマートフォンやパソコンなどのデジタル遺品にも相続に必要な情報が含まれている可能性があるため、すぐにデータを消去してしまうのは避けた方が無難です。

また、相続の際には故人の遺言が法律によって定められた相続方法よりも優先されるため、遺言書の有無は相続の内容を大きく左右します。遺言書の破棄や偽造は刑罰にも問われる可能性があるため注意しましょう。

税金関連のトラブル

相続のトラブルに付随して、相続税をはじめとした税金関連のトラブルに発展する可能性があります。

相続税は相続の開始があったことを知った日から10か月目の日までに納税する必要があります。財産を確認するための書類や手続きに必要なものなどを捨ててしまうと、相続税の申請にかかる手間が増大してしまいます。

相続手続きの時期には各種手続きや法事によって忙しい日々が続くこともあるため、必要なものをしっかり用意するためにも余裕を持った対応を行いましょう。

法律上の罰則を科される

捨ててはいけないものを捨てると、法律によって罰則を受ける可能性もあります。現金や遺言書は法律によって破棄することが禁じられています。

また、捨てる遺品によっては確認を怠ると地域のゴミ捨てのルールに違反する可能性もあるでしょう。ゴミ収集のルールに当てはまっているか、不法投棄にあたらないか、事前にしっかり確認をしておきましょう。

捨てた後に後悔の念に襲われる

遺品を捨ててしまうと、取り戻したいと思っても取り返しがつかないため「なんであの時捨ててしまったんだろう」と後悔の念に襲われることもあります。

また、他の遺族にとって大切だったものが勝手に捨てられてしまう事態が発生すると、遺族間のトラブルにも発展してしまいます。思い出の遺品を捨てる際にはじっくり時間をかけて考え、心の準備をしたうえで捨てるようにしましょう。

遺品整理で捨ててはいけないものの判断材料

遺品整理で捨ててはいけないものは?起こりがちなトラブルなどとあわせて解説!

ここでは、遺品整理の際に捨ててはいけないものを判断する要素をご紹介します。

遺書・遺言書を参照する

遺品整理で捨ててはいけないものを判断する際には、遺書や遺言書を参照するようにしましょう。

遺言書は法的拘束力を持ち、その内容に従って遺品整理を進めることになるため、作業を開始する前に必ず内容を確認しましょう。遺言書には相続の方法や故人の遺志、遺品の取り扱いに関する事項の記載がある場合もあります。

記載されている場合には、その内容に従って遺品の処分を決定することができるので、判断に困ることが減るはずです。

エンディングノートを参照する

遺書・遺言書の他に、エンディングノートも捨ててはいけないものを決める際の判断材料になります。遺言書とは異なり法的拘束力はありませんが、遺言書よりも記載できる内容は幅広く、自由度の高い形で故人の遺志を示すことができます。

遺品を捨ててしまった後に故人の遺志に反していたとわかっても取り返しがつかないため、こちらも遺言書とあわせて遺品整理を開始する前に内容の確認を行いましょう。

生前に話し合いをしておく

生前に遺品整理の方法について話し合っておくことも大切です。本人の意思を直接確認できるため、親族間で遺品や相続に関するたしかな内容を共有できます。

また、本人が健康なうちに生前整理を行うのもおすすめです。生前整理を行っておけば本人が自ら財産のリストをまとめ、捨てていいものを親族に伝えることができます。すでに捨ててよいと判断したものは自ら処分することもできるため、遺族が行う遺品整理の負担を減らすことができます。

遺品整理業者に相談する

捨ててはいけないものを判断する材料が少なく、判断が難しい場合には遺品整理業者に相談するのもおすすめです。自分だけの判断で遺品を捨てるのは不安だと感じる場合には、専門家にチェックしてもらって判断しましょう。

ただし、思い出の品をはじめとして、遺族が自ら判断すべきものも少なくありません。業者にすべてを任せきりにするのではなく、確認はしっかり行いましょう。

遺品整理で捨ててはいけないものを保管する際のポイント

遺品整理の風景

ここでは、捨てることなく残した遺品を保管する際のポイントをご紹介します。

不要なものまで保管しない

遺品を保管する際には、不要なものまで保管しないよう注意が必要です。遺品は残しすぎると保管するのも大変なうえに、家がもので溢れてしまう原因にもなります。

不要に思えるものは遺族に確認のうえで処分してしまうことも重要です。遺品整理を行う際には、どれくらいの遺品を残すか上限を決めたうえで作業を行うのがよいでしょう。

手続きを済ませて関連物を処分する

各種手続きに必要になる書類等は、早めに手続きを済ませて処分してしまうことをおすすめします。書類が多いとどれが何に使用する書類かわかりづらいうえに、残しておくと手続きを終えたものとこれから手続きを行うものが混ざってしまいます。手続きを後回しにしていてもいずれは行うことになるうえ、書類がどこにあるかわからない、といった事態にも陥りかねません。

写真はデータに変換して保管する

写真を保管する場合には、データとして保管することも検討しましょう。すべての写真を実物で持っているとかなりの量になる可能性もあり、特定の写真を探すことも難しくなりがちです。

また、データ化することで写真を紛失するリスクの軽減にもつながります。データ化しておけば必要な際にいつでも現像できるため、本当に大切な写真以外はデータで保管しておくのもよいでしょう。

データの紛失が怖い場合には、PC本体やUSBなどのローカルな環境に加え、クラウド上にもデータを保管しておくことでデータ紛失のリスクを軽減できます。

遺族間での話し合いを行う

遺品の保管方法に関しても、遺族間での話し合いを行っておきましょう。

捨てないで残した遺品は形見分け等で遺族に分配されることもあるため、どの遺品がどこに保管してあるか共有しておくことも大切です。捨ててよいか迷う遺品は一旦保管しておいて、話し合いの機会を設けてから処分を決定しましょう。

捨ててよいと判断した遺品の処分方法

ここでは、捨ててよいと判断した遺品をどのように処分するか解説していきます。

買取に出す

買取をしてもらえそうな遺品は買取に出してみるのがおすすめです。買取が可能であれば、売却益を得つつ遺品の処分を行うことができます。

買取を依頼する際には、遺品の種類によって依頼する業者を選択する必要があります。骨董品や美術品といった高級品は買取専門店に依頼する、家電は幅広い品物を取り扱っているリサイクルショップに依頼する、といった具合で適切な業者を選択しましょう。

また、遺品整理業者でも買取を行っている業者があるため、遺品整理の手間を軽減したい場合には整理と買取を一括で行えるこちらを利用するのもおすすめです。

不用品として回収してもらう

不用品として回収してもらうのも、遺品を処分する際の選択肢の一つです。

遺品整理業者に依頼する場合と同様、遺品の処理にかかる手間が軽減できる点が大きなメリットです。買取をしてもらえなかった遺品が大量に残っている場合には、最も手間なく処理できる方法といえるでしょう。

ごみとして廃棄する

ごみとして廃棄するのも、遺品を処分する際の選択肢に入ります。

業者に依頼するよりも処分に手間はかかるものの、費用を安く抑えられるメリットがあります。サイズの大きな遺品を粗大ごみとして処分する際には、お住まいの自治体のルールを確認したうえで対応しましょう。

慈善団体に寄付する

遺品の種類は限られますが、慈善団体などの組織に寄付をすることも遺品を処分する方法の一つです。

まだ使えそうな遺品があれば、寄付することで社会貢献をしつつ遺品を処理することができます。寄付できる遺品は組織ごとに異なるため、希望する場合には事前にホームページを確認したり、問い合わせをしたりして確認を行いましょう。

遺品整理の前に捨ててはいけないものをしっかり確認しよう

遺品整理で捨ててはいけないものは?起こりがちなトラブルなどとあわせて解説!

今回は遺品整理において捨ててはいけないものや発生しがちなトラブルなどを解説しました。

誤って捨ててしまうと大きなトラブルに発展してしまうものもあるため、遺族や専門家に確認したうえで遺品整理にとりかかることが大切です。本記事で紹介した遺品を中心に、捨ててはいけないものをしっかり把握したうえで遺品整理を進めていきましょう。