身の回りの方が亡くなった際、故人が所持していた物品の処理を行う遺品整理。日常的に行うものではないため、いざ遺品整理をする状況になると何から始めていいかわからない、といった状況に陥るかもしれません。
今回は遺品整理の方法や業者の選び方、注意点などをご紹介します。遺品整理に着手する前にこれらの情報をチェックしておくことで、実際に遺品整理を行う際の手間やトラブルを避けられるはずです。
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遺品整理とは?
遺品整理とは、故人が生前に使用していた身の回りの物品や思い出の品を遺族が片付けて整理することを指します。
遺品は家具や写真といった思い出の詰まったもの、印鑑や通帳といった財産的な価値があるものまでさまざまです。遺品が相続の対象となっている可能性もあるため、遺族間で相談しつつ必要なものを分類していきましょう。
故人に想いを馳せながら遺品整理をすることで、故人との別れで揺らいだ気持ちの整理にもつながることでしょう。
遺品整理を行う方法
遺品整理は遺族だけで行うだけでなく、業者に依頼するという選択肢もあります。ここでは、遺品整理を行う際の主な方法とメリットをご紹介します。
故人の遺族で行う
遺品整理は基本的に故人の遺族間で行うことになります。故人の近くで過ごしてきた遺族が遺品整理を行うことで、故人が大切にしていたものや思い出の品がわかりやすいのがメリットです。
思い出の品を片付けている時間も、故人との別れを受け入れて心の整理をつけるための貴重な時間となるでしょう。また、業者に依頼する際と比較して費用を抑えられる点も嬉しいポイントです。
買い取り業者に依頼する
買い取り業者に依頼するのも、遺品整理を行う方法の一つです。
買い取り業者では家電から日用品まで幅広く買い取りを行ってくれるため、遺品の処分にかかる費用を削減しつつ遺品整理を行えます。出張買取サービスを行っている買い取り業者も多く、遺品を店舗まで運ぶ必要がない点も嬉しいポイントです。
買い取り業者で引き取ってもらえないものがあった場合には、より多くの商品の買い取りをおこなっているリサイクルショップや、不用品回収業者の利用を検討するのもよいでしょう。
整理する物品が多い場合には遺品整理が重労働となってしまう場合もあるため、これらの業者を利用して、整理の手間を削減することを検討しましょう。
遺品整理の専門業者に依頼する
より手間をかけずに遺品整理を行いたい場合には、専門業者に依頼するのもおすすめです。
遺品の片付け、不用品回収、買い取り等を一気通貫で行ってくれるため、遺品整理に時間をかけられない場合には、大変便利なサービスといえるでしょう。また、孤独死等の場合には遺体の発見までに期間が空いてしまうこともあるため、部屋が汚れてしまう、臭いが残ってしまうといったケースもあります。
遺品整理業者によっては、部屋の原状復帰も行っている業者も存在するため、賃貸物件の場合などには利用を検討したいサービスといえるでしょう。遺品整理に関する作業を広く担当してくれる専門業者ですが、業者ごとに提供しているサービスは異なるので依頼する前にしっかり確認しておきましょう。
遺品整理にあたっての業者の選び方
ここでは、遺品整理を依頼する際の業者の選び方をご紹介します。業者に依頼する際には以下の事項を判断材料としたうえで、業者を選択してみてください。
遺品整理士が所属している
業者の選定に際しては、遺品整理士が所属しているか確認しましょう。
遺品整理士は一般財団法人遺品整理士認定協会が提供する民間資格で、遺品整理に関する知識や対応能力を証明する資格です。資格取得には協会が提供する専用の講座を受講したうえで、レポート審査を通過する必要があります。
遺品整理士は遺品整理に際しての正しい対応や法規制を遵守した遺品整理方法などを身につけているため、安心して遺品整理を依頼することができるでしょう。
遺品整理士の在籍は遺品整理業者の信頼度を図る際の一つの目安となります。
遺品整理に関する各種資格を有している
業者が遺品整理に関する資格を有しているか否かも、業者を選定する際の判断材料となります。
先述の通り遺品整理業者の仕事内容は多岐にわたるため、それぞれの業務に対応した資格の取得が必要です。例えば、遺品の買い取りを行うためには古物商許可という資格が必要になります。有する資格によって担当できる業務が異なるため、依頼したい業務に対応した資格を業者が有しているか事前に確認しておきましょう。
・各種資格と関連業務
資格名 | 業務内容の例 |
古物商許可 | 遺品の買い取り |
一般廃棄物収集運搬業許可 | 廃棄物の処理 |
一般貨物自動車運送事業許可 | 形見分けを有料で配送する |
遺品査定士 | 不用品回収 |
遺品整理士 | 遺品整理関連業務全般 |
事件現場特殊清掃士 | 特殊清掃 |
見積もり書の料金が明確である
見積もり書に記載されている料金が明確であることも、業者を選ぶ際に注目すべきポイントです。
見積もり書に具体的な作業内容や作業ごとの費用が記載されているか確認しましょう。詳細な見積もりをしてもらうことで、後から追加料金が発生するといったトラブルの回避につながります。
加えて、不当な追加料金を防ぐためにも書面で見積書を受け取るとよいでしょう。追加料金が発生する可能性があるかも事前に確認しておきましょう。
複数の業者に見積もりを依頼する
見積もりを依頼するときは必ず複数の業者に見積もりを依頼し、比較するようにしましょう。
比較を行う際には費用に加えて従業員の対応など、サービス面も比較するのが大切です。電話対応や訪問見積もりにおける対応が丁寧であるか、事前にしっかり確認しておきましょう。
また、見積もりを依頼する際には訪問見積もりを実施している業者がおすすめです。電話のみでの見積もりよりも正確な見積もりが可能になるうえ、直接従業員と会ったうえで信頼できる業者であるか判断が可能です。
遺品整理にとりかかる時期
遺品整理には少なくない時間を要するため、実際に作業にとりかかる時期に迷うことも多いでしょう。ここでは、遺品整理を開始するタイミングとしておすすめの時期をご紹介します。
葬儀等の手続き終了後
遺品整理は葬儀等の手続きが落ち着いた時期に着手することをおすすめします。
葬儀の前後は式場の予約や補助金の申請といった手続きが多く発生します。葬祭関連の手続きは急ぎで行うものや期間が定められているものも多いため、遺品整理に時間を割けなくなるケースも多いでしょう。限られた時間で急いで遺品整理を行うと心の整理がしづらく、遺族への確認不足による相続トラブルも発生しかねません。
葬祭関連の各種手続きを終えたのち、時間を確保できるタイミングで遺品整理を開始するのがよいでしょう。
法事の時期に
四十九日や一周忌といった法事の時期に合わせて遺品整理を実施するのもおすすめです。
遺族で遺品整理を行う場合の課題として、遺族間のスケジュール調整が難しい点が挙げられます。法事の時期には遺族が集まるため予定を合わせやすく、遺品整理を行うにはもってこいのタイミングといえるでしょう。遺品整理への参加を希望する遺族が多い場合には、法事の時期はとても良い選択肢となります。
賃貸住宅の契約期間までに
賃貸住宅の契約期間も遺品整理を行う際の目安となります。
故人が賃貸住宅で亡くなった場合には、物件の契約期間が終了次第、物件を明け渡す必要があるでしょう。そのため、契約期間終了までに遺品整理を終わらせることとなります。契約期間が短く遺品整理をする余裕がない場合には、契約期間の延長も選択肢の一つです。
時間的余裕をつくることで心を落ち着かせて遺品整理を行うことができるでしょう。
持ち家の場合は落ち着いた時期に
故人が亡くなった場所が持ち家である場合、落ち着いた時期に遺品整理に着手できます。賃貸住宅のような契約期間による制限がないため、遺族間でのスケジュールの調整もしやすいでしょう。
故人と遺族が同居していた場合には、日常生活の合間を縫って少しずつ整理を進めていくこともできます。心身ともに、遺族の準備が整ってから開始するのが良いでしょう。
遺品整理を行う際の注意点
遺品整理を行う際には、遺族間でのトラブルを避けるために事前に確認すべき点も存在します。ここでは、遺品整理を行う際に特に注意すべき点をご紹介します。
遺言書を最初に確認する
遺品整理を行う際には、遺言書の有無と内容を最初に確認しておきましょう。
遺言書が存在する場合には法的効力が発生し、遺言書に記載された内容に即して遺品整理を行う必要があります。遺品整理を始めた後に遺言書の内容を確認した場合、遺品整理を再度やり直す可能性もあるため注意が必要です。
また、遺言書と類似したものとしてエンディングノートがありますが、遺言書と異なり法的効力はありません。しかし、遺言書と同様に故人の意思であることに変わりはないため、できる限りエンディングノートの記載を尊重して遺品整理を進めるとよいでしょう。
遺品整理を独断で行わないようにする
遺品整理を始める際には、故人と関係のある遺族に確認をとったうえで始めるようにしましょう。
前述した遺言書をはじめとして、故人の意思確認や相続関連の事項を確認する必要があるためです。相続財産や相続人の確認をしないまま遺品整理を行ってしまうと、遺族間で相続関連のトラブルが発生してしまう可能性があります。一部の遺族に相続関連の話をしていた、というケースも考えられるのでしっかり確認しましょう。
財産価値のある遺品の取り扱いに注意する
財産的な価値のある遺品を取り扱う際には、特に注意して遺品整理を行いましょう。
相続人同士の争いとなり形見分けという形で解決しない場合には、遺産分割協議等の対応も必要になるケースがあります。また、財産的価値の高い遺品を扱う場合には贈与税が発生する場合もあるでしょう。
このように、財産価値の高い遺品を取り扱う際にはトラブルも発生しやすいため特に注意が必要です。
自身に適した方法で遺産整理を進めよう
今回は遺品整理の方法や業者の選び方、注意点などをご紹介しました。
遺産整理のための時間が確保できない場合には、買い取り業者や専門業者の利用を検討しましょう。遺品整理を行う際には手段や整理の流れを確認しながら進めることが大切です。
遺族間での話し合いを行いながら、トラブルが発生しないよう最善の方法で遺品整理を進めていきましょう。