2023年08月28日 / 2023年08月28日 更新

遺品整理士という仕事をご存じでしょうか。遺品整理に必要な知識を備えたプロフェッショナルとして、遺品整理の現場で活躍する職業です。今回は、遺品整理士の特徴や業務内容、給与について解説していきます。遺品整理士になりたいと考えている方はもちろん、遺品整理士に依頼をしたい方にも役立つ内容となっています。本記事を通じて遺品整理士への理解を深めていきましょう。

遺品整理士とは

遺品整理士はその名の通り、遺品整理に関する知識を備えた専門家として仕事をする職業です。故人の遺族間で行われることも多い遺品整理ですが、実際は心身ともに負担の大きな作業です。そのため、近年では専門の遺品整理士に依頼して負担を減らすという選択をする方も増加しています。

遺品整理士の資格は一般財団法人遺品整理士認定協会が交付しており、通信講座を受講したうえで取得する方式です。遺品整理士認定協会は、資格取得を通じて命の尊さを理解しながら遺品整理を行える人材の養成を目指しています。

そのため、遺品整理士の資格を有していれば、遺品整理に必要な知識と心持ちを両方備えた人材として活躍することができるでしょう。

遺品整理士の特徴

ここでは、遺品整理士という仕事の特徴をご紹介します。特徴を把握することで、遺品整理士の仕事のイメージがより具体的になるでしょう。

遺品整理士と不用品回収業者の違い

遺品整理士は業務の性質上、不用品回収業者と同一視されることも少なくないですが、両者には明確な違いがあります。遺品整理士は遺品を故人の大切な思い出として取り扱うことを前提としており、故人や遺族の気持ちに寄り添いながら業務を行います。

また、遺品整理業者によっては、遺品の片付け以外にも相続や不動産といった遺品整理に関連する相談を請け負っている業者もあります。

遺品の回収は遺品整理士の仕事の一部であり、遺品や相続に関わる仕事であれば幅広く対応するのが不用品回収業者にはない遺品整理士の特徴です。

遺品整理士の需要は高まっている

遺品整理士の特徴として少子高齢化や未婚率の上昇が進む現代において、非常に需要が高まっていることが挙げられます。故人が遺族と離れて暮らしていた場合や賃貸住宅の退居期日が迫っている、といった遺品整理業者を利用すべきケースもより多くなっているのが現状です。

遺品整理は時間的にも負担の大きい作業ですので、遺族が時間を作れない場合もあるでしょう。また、遺品整理では遺品の取り扱い方や処分する際の関連法令など、専門知識が求められることも多いため、調べものにも時間を要してしまいます。

遺品整理士に依頼すればこれらの作業を一任できるため、遺品整理士の需要は今後さらに高まっていくことでしょう。

故人の物品を扱う責任のある仕事

遺品整理士は故人の物品を取り扱うため、非常に責任のある仕事です。遺品整理に対する向き合い方、精神面での理解を深め、遺品ひとつひとつに対して真摯に向き合う必要があります。

また、遺品の中には骨董品やコレクター品といった貴重品が含まれていることも多いため、物品の運搬や取り扱いについても知識を深める義務があります。

遺品整理士の資格は遺品整理において必須ではない

遺品整理士の資格は遺品整理をする際に必須ではありません。とはいえ、資格を有していたほうが業務の質や顧客からの信頼の面で優れているのは明白です。遺品整理事業に関するルールや法律はまだ十分に整備が進んでいるとはいえず、遺品整理業者の中にはずさんな業務を行う悪徳業者も存在します。

遺品整理は故人や遺族にとって非常に大切な作業ですので、信頼できる業者に依頼をしたいのは当然といえます。

そのため、しっかり講習を受けたうえで知識を身につけた証明になる遺品整理士の資格は、顧客に信頼してもらうための重要な一要素となるでしょう。

遺品整理士の業務

ここでは遺品整理士の業務内容をご紹介します。多くの業者が行っている主要業務は以下の通りです。

・遺品の仕分け

・遺品の探索

・遺品の処分

・遺品の買取

・現場の清掃

・現場の養生

また、オプションサービス等で対応する可能性のある業務には以下のようなものが挙げられます。

・遺品の配送

・遺品の供養

・家屋の解体

・不動産売却サポート

・相続サポート

・終活サポート

このように遺品整理士の業務内容は幅広く、遺品整理に関する事柄であれば顧客の要求に柔軟に対応することが求められます。よって遺品整理士として仕事を続けていくためには、実務のなかで幅広い業務に対応するための知識や心構えを養う必要があります。

遺品整理士の年収

遺品整理士とは?業務内容や給与について解説します!

遺品整理士を志す際には、給与面も気になるところでしょう。ここでは、遺品整理士の年収についてご紹介します。

遺品整理士の年収

遺品整理士の年収相場は300万円~500万円ほどとなっています。国税庁が発表している令和3年分の民間給与実態統計調査[A1] によると、日本における給与所得者の平均年収は443万円となっています。遺品整理士の年収相場はサラリーマンの平均年収に近い値であるといえるでしょう。

ただし、給与は勤務形態や会社の規模によって変わってきます。会社勤務の場合には勤続年数によって給料が上がっていくことに加え、ボーナスが発生する可能性もあります。

また、遺品整理業者に勤める以外にも、自ら開業して遺品整理事業を立ち上げるという道もあります。会社勤務よりも業務や責任の面で負担は増えるものの、事業の成長次第では平均年収以上の収入を期待できるでしょう。

遺品整理士が年収を上げるには

遺品整理士が年収を上げる方法としては勤続年数を重ねる、もしくは独立開業することが主な手段になります。いずれの場合も経験を積むことは必須であり、業務品質の向上はもちろん、顧客から信頼を得るためにも経験は非常に重要な要素です。

遺品整理の需要増加とともに遺品整理業者も増加傾向にあるため、今後も競合が増えていくことが予想されます。そのため、経験や営業力は収入を上げるための大切な要素になるでしょう。

遺品整理士資格を取得するには

ここでは、遺品整理士の資格を取得するまでの手順をご紹介します。遺品整理士になるには、遺品整理士認定協会の行っている試験に合格する必要があります。遺品整理士の資格取得に必要な費用は入会金25,000円、会費10,000円(2年間有効)となっています。

遺品整理士として認定されるまでのおおまかな流れは以下の通りです。

1,養成講座に申し込む

申し込みは電話もしくはWeb上で行います。申し込み資格は特に定められておらず、誰でも申し込みが可能です。

2,教材が発送される

教材の内容は教本、資料集、問題集、DVDとなっています。

3,課題レポートを提出する

提出はWeb上もしくは郵送にて行います。レポート提出期間の目安は2か月間となっていますが、連絡をすれば提出期間の延長も可能です。

4,合格通知を受ける

結果がわかるまではレポートの提出から約2か月を要します。合格した場合、認定手続きを行います。

5,認定証書の発行

認定証書とともに、遺品整理士として活動するうえで役立つ資料も発送されます。詳細情報は遺品整理士認定協会ホームページに記載がありますので、あわせてご確認ください。

遺品整理士認定協会ホームページはこちらから

遺品整理士の開業

ここでは、遺品整理士として開業する場合について解説していきます。開業すべきか会社に所属すべきか判断するためにも、開業に関する情報も事前に知っておきましょう。

フランチャイズで開業

遺品整理士の開業方法としてまず挙げられるのが、フランチャイズで開業することです。フランチャイズで開業する場合、有名企業の名前を使用できることによるブランド力の向上や経営ノウハウを享受できる点が大きなメリットです。

ただし、開業の際には加盟料や研修費で費用が発生するうえに、継続的にロイヤリティが発生する点は注意すべきポイントです。

ロイヤリティとは、加盟した側が継続的に支払う使用料のことを指します。ロイヤリティには定額を支払う方式や売り上げの一部を支払う方式が存在し、いずれの場合も継続的な出費が必要になります。事業継続に必要な資金が多くなる点はフランチャイズで開業する際のデメリットといえるでしょう。

独立開業

独立開業することも遺品整理士が独立する選択肢のひとつです。独立開業の特徴は収益も支出もすべて自らの事業次第ということです。フランチャイズとは異なりロイヤリティを支払う必要もないため、収益が上がればそれがそのまま利益となります。

一方、事業に必要な備品や人材、ノウハウ等をすべて自力で用意する必要がある点は独立開業の弱みといえます。最初は知名度やブランド力もないため、集客面での難しさは独立開業の大きな課題といえるでしょう。

開業に必要な費用目安

遺品整理士の開業には少なくない初期費用が必要になります。各開業方法で必要になる資金目安は以下の通りです。

・フランチャイズの場合

フランチャイズで開業する場合、およそ50万円~100万円程度が費用目安となります。

加盟料、研修費、広告費、備品使用料などが挙げられます。これらの費用に加えてロイヤリティが発生する点にも注意しましょう。ロイヤリティの内容は企業によって異なるため、契約を行う前に条件や契約内容をしっかり確認しておくことが大切です。

・独立開業の場合

独立開業で開業する場合、およそ100万円~300万円程度が費用目安となります。広告、用具準備、トラック、資格取得等に費用が発生します。

ただし、事業方針や広告手段等も開業者によって異なるため、フランチャイズで開業する場合よりも費用の振れ幅が大きくなります。高額な初期費用やノウハウの蓄積が必要な分ハードルはフランチャイズより高くなりやすいものの、ロイヤリティが発生しないため、収益で初期費用を賄いやすい点も独立開業の魅力です。

遺品整理士のサービスを利用するメリット

遺品整理士とは?業務内容や給与について解説します!

ここまで、遺品整理士を志す方に向けた内容を解説してきました。ここでは、遺品整理士への依頼を検討している方に向けた、遺品整理士のサービスを利用するメリットをご紹介します。

サービスの質が保障される

遺品整理士資格を保持していることは遺品整理に関する知識の証明になるため、サービスの質が保障されます。

遺品整理の仕事には現場での業務知識以外にも法令やルールに関する専門知識が必要になるため、資格取得の際にこれらの知識を備えている遺品整理士に依頼することは大きな安心につながります。

また、長期間遺品整理士として仕事をしている担当者の場合、知識だけでなく経験も豊富です。現場で培われた知識や立ち振る舞いなども、遺品整理を任せるうえでの安心感につながるでしょう。

悪徳業者のリスクを減らせる

遺品整理士に依頼することで、悪徳業者に依頼をしてしまうリスク軽減にもつながります。

先述の通り、遺品整理士の資格は遺品整理業務を行う上で必須ではありません。そのため、資格や専門知識を持たない人でも事業をすること自体は可能です。

専門知識がないと遺品の取り扱い方法が乱雑であったり、誤った遺品の処分方法を行ったりする可能性が高まります。

このようなずさんなサービスを提供する悪徳業者が存在するのが現状ですが、遺品整理に関する知識が豊富な遺品整理士が所属していれば悪徳業者にあたるリスクは下がります。依頼を行う際には、遺品整理士が所属しているか確認した上で依頼するのがよいでしょう。

遺品整理に関するサービスをまとめて依頼できる

遺品整理に関するさまざまなサービスをまとめて利用できる点も、遺品整理士のサービスを利用するメリットです。遺品整理においては遺品の処分や買取だけでなく、相続関連の手続きや現場の清掃といった作業が必要になる場合も少なくありません。

それぞれ別の業者に依頼しようと考えた場合、買取業者、不用品回収業者、清掃業者といった複数の業者に依頼する場合もあるでしょう。

遺品整理士に依頼すれば、これらの業務をまとめて担当してもらうことが可能です。依頼する際には自分が依頼したい業務内容を洗い出し、業者がその業務に対応しているか確認しましょう。関連資格を有する担当者が在籍しているかも、あわせて確認しておくのもおすすめです。

安心感を与えられる遺品整理士を目指しましょう

今回は遺品整理士の特徴や業務内容、給与について解説しました。

遺品整理士の仕事は故人の大切な遺品を取り扱う、非常に責任のある仕事です。遺族への配慮を欠かさず、丁寧な姿勢が求められます。大変な仕事であることは間違いありませんが、遺族と故人のかけがえのない時間を支えることのできる、やりがいのある仕事でもあります。遺品整理士を志した場合、まずは資格取得に挑戦することをおすすめします。しっかり知識を備えて、安心して仕事を任せてもらえる遺品整理士を目指しましょう。